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 弁護士・公認会計士  洪 勝吉

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私立学校法の改正-情報の取得方法

私立大学の不祥事が後を絶たないことなどを背景に、ガバナンスの強化を目的として、私立学校法に大きな改正がなされています。
理事長の専横を防止するため、理事会や監事、評議員会の権限の強化などがなされました。
このような権限を適切に行使するためには、これを判断するための適切な情報の取得が必要です。
改正内容は多岐にわたりますが、今回は情報の取得方法の整備という観点から、改正後の私立学校法の内容を見ていきます。

 

【目次】(2023.12.15)
1.各機関権限の強化
2.情報の取得方法
 2.1 理事会
 2.2 監事
 2.3 評議員会
 2.4 評議員
 2.5 理事選任機関

各機関の権限の強化

理事選任機関や会計監査人の設置などの改正がなされ、既存の学校法人の機関についても、その権限が次のように強化されました。

理事会の職務として、理事長の選定が規定され(新法37条1項)、理事長の解職も理事会の決議でなされることになります。
監事の職務については、評議員会への理事による提出議案等の調査権限(54条)、評議員会への出席等(55条)、子法人に対する調査権限が規定されました(53条2項)。
評議員会の職務については、多くの権限が新設されており、監事や会計監査人の選解任(45条1項、48条1項、80条1項、83条1項)、監事に対する理事の不正行為等の差止めの求め(67条1項)、理事選任機関に対する理事選任に関する意見(30条2項)、理事の解任の求め(33条2項)などが定められています。

理事や監事、評議員についても、学校法人や第三者に対する損害賠償責任が規定されました(88条、89条)。
強化された権限を適切に行使する法的義務があるということです。
権限を適切に行使するためには、適切な情報を適時に入手する必要があります。
そこで、情報の取得方法について、整備がなされています。
 

情報の取得方法

情報を入手する機関ごとに、どのような手段が定められてるか挙げていきます。

理事会

・理事長など業務執行権限のある理事による、定期的な(年2回以上、大臣所轄学校法人等は年4回以上)職務執行状況の報告(39条1項)
・理事による、競業取引、利益相反取引の重要事実の開示(40条、一般社団・財団法人法84条1項)
・監事による、業務・財産の状況、理事の職務執行状況の報告(52条3号)
・監事による、意見表明(52条2号、55条1項)
・監事による、監査報告(56条1項)
・監事による、理事の業務執行等に関する不正行為等(「生ずるおそれ」を含む)の報告(56条2項)
・会計監査人による、会計監査報告(86条2項)
計算書類等の承認(104条3項)
 

監事

・理事による、学校法人に著しい損害を及ぼすおそれのある事実について報告(40・一社85)
理事会、評議員会の出席権(52条2号)
・いつでも 理事・職員への事業報告徴求権業務財産状況調査権(53条1項)
・必要があるとき 子法人への事業報告徴求権業務財産状況調査権(53条2項)
・理事による評議員会への議案等の調査権(54条)
・学校法人と理事との間の訴えにおける法人の代表権(59条)[理事・学校法人間の訴訟に関する情報の入手という側面がある]
・会計監査人による、会計監査報告(86条2項)
・会計監査人による、理事の業務執行等に関する不正行為等の報告(87条、一社108条1項)
・必要があるとき、会計監査人への報告徴求(87条、一社108条2項)
・理事による、会計監査人の報酬等に関する情報(87条、一社110条)
計算書類等の監査(104条2項)
 

評議員会

・理事選任期間による、あらかじめ、役員選任(30条2項)の情報[意見を求めるには、相応の情報が提供される必要があるため、情報入手の側面がある。以下も同じ。]
・理事会による、あらかじめ、重要な財産の処分、多額の借財、予算等の作成・変更、役員等の報酬等の支給の基準、収益事業の重要事項の開示(36条4項)
・監事による、その選任・解任・辞任についての意見表明(49条3項)
・監事を辞任した者による、辞任理由の表明(49条4項)
・監事による、業務・財産の状況、理事の職務執行状況の報告(52条3号)
・監事による、評議員会議案等について著しく不当な事項があると認めるときの報告(54条)
・監事による、監査報告(56条1項)
・監事による、理事の業務執行等に関する不正行為等の報告(56条2項)
・理事による、計算書類及び事業報告書の提出(105条2項)
・理事による、計算書類及び事業報告書の内容の報告(105条3項)
・理事会による、あらかじめ、寄附行為変更、解散、合併の情報(108条2項、109条2項、126条2項、150条)
・会計監査人による、監事と意見を異にするとき、定時評議員会における意見表明(87条、一社109条1項)
・会計監査人による、定時評議員会における意見表明(87条、一社109条2項)
 

評議員

・いつでも 寄附行為、理事会の議事録、評議員会の議事録、会計帳簿及びこれに関する資料、計算書類等、監査報告、会計監査報告、財産目録等の閲覧等(68条)
・理事への評議員会における説明徴求(39条2項)
・監事への評議員会における説明徴求(55条2項、39条2項)
・理事による、計算書類、事業報告、監査報告の提供(105条)
 

理事選任機関

・監事による、業務・財産の状況、理事の職務執行状況の報告(52条3号)
・監事による、理事の業務執行に関する不正行為等(「生ずるおそれ」を含む)の報告(56条3項)

 

まとめ

これまで見たように、それぞれの機関に様々な情報の入手ルートが整備されました。
会計監査人が必置される学校法人(大臣所轄学校法人等)も規定され、適正な情報の開示・共有化が求められています。
学校法人の機関としては、入手した情報をもとに適切にその権限を行使することが期待さています。

 

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