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 弁護士・公認会計士  洪 勝吉

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取締役会の運営方法-決議

前回に引き続き、取締役会の決議方法について確認します。

取締役会の決議に関する規定

取締役会の決議方法については、会社法369条1項が「取締役会の決議は、議決に加わることができる取締役の過半数・・が出席し、その過半数・・をもって行う」と定めています。

取締役会決議は、取締役1人につき1議決権であり、代表取締役も平取締役も同じ議決権を持ちます。前回見たとおり取締役会への代理出席はできませんので、議決権の代理行使もできず、自ら出席して決議に加わる必要があります。

取締役の過半数とは、通常は「現存」取締役の過半数のことを意味しますが、法律や定款所定の最低限の員数よりも少ない場合は、法律・定款所定の最低限の員数の過半数を指します。
したがって、取締役会設置会社(法律上の最低の取締役の員数は3名)で、現存取締役が1名になれば、定足数を満たすことができず、取締役会の開催自体ができなくなってしまいますので、一時取締役(会社法346条2項)の選任を裁判所に求めるなどの処置が必要になります。
なお、一時取締役、取締役の権利義務を有する者(会社法346条1項)、取締役職務代行者(会社法352条)については現存取締役に含まれますが、職務執行を停止された取締役は含まれません。

可否同数の場合は議長が決するとの取締役会規定については、可否同数の場合に議長が2票投じることになりますので、許されないと解されます。
 

特別利害関係取締役

取締役会の決議について、特別の利害関係を有する取締役は、決議に参加することができず(会社法369条2項)、定足数や決議要件の数にも算入されません。
例えば、次のような場合の該当する取締役については、特別利害関係を有すると理解されてます。
・競業取引・利益相反取引の承認決議
・監査役設置会社での取締役・会社間の訴えの際の会社代表者の選任決議
・代表取締役解職決議

次のようなケースでは特別利害関係の有無について見解の相違があります。
・譲渡制限株式の譲渡承認決議
・株主総会に提出するための退職慰労金贈呈議案の決定
・株主総会の一任決議を受けた後の、退職慰労金贈呈にかかる具体的事項の決定のための決議

特別利害関係取締役については、公正を確保するため、議長になる権限を有しないと解され、特別利害関係取締役が議長となって取締役会決議を成立させた場合に、当該決議を無効とした裁判例があります(東京高等裁判所平成8年2月8日判決)。

特別利害関係取締役が、その議題について意見を述べる権限があるかどうかについては見解が分かれるところですが、実務的には、必要があれば取締役会の承認のもとに意見を述べさせた上で決議には参加させないといった対応が穏当です。
そして、特別利害関係取締役は、取締役会から退席を要求されれば、その指示に従う必要があります。
 

決議に瑕疵がある場合

取締役会の招集手続や決議方法、決議内容の法令・定款違反、株主総会決議違反などが存在した場合、原則として取締役会決議が無効になります。

そして、株主総会の場合と異なり、法律に特別な定め(会社法830条、831条)がないため、裁判所への訴えによらずとも、誰でもいつでも、その無効を主張できることになります。

代表取締役を選定する取締役会決議が無効の場合、この決議により選定されたものは、法律上の代表取締役であるとは言えなくなるなど、会社運営に多大な支障が生じる結果となりますので、注意が必要です。
 

具体例

取締役会決議の効力が争点となった比較的最近の裁判例として次のような事例があります。

● 取締役会議長が、取締役や監査役でない弁護士を取締役会に同席させ、取締役会での議論を整理し法律的な観点からの助言を行ったことについて、この弁護士は議長の履行補助者とみることができるから、決議が無効となるものではないとしたたもの(東京高等裁判所令和元年12月5日判決)

● 取締役会の開催に当たり、代表取締役に対する招集通知を欠いた場合において、この取締役会には、当該代表取締役を除く取締役ら全員が出席し、棄権した一名を除く全員の賛成をもって決議が成立し、該当する代表取締役を除く取締役らはこの取締役会の前夜、顧問弁護士らも交えて協議をし、会社に混乱をもたらすこと等を防止するため、当該代表取締役を解職するとの意見を形成するに至っており、相応な根拠に基づく強固な意見であったことなどからすると、当該代表取締役がこの取締役会に主席してもなお決議の結果に影響がないから、解職決議は有効としたもの(東京高等裁判所平成29年11月15日判決)

 

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