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弁護士・公認会計士 洪 勝吉
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事業承継やM&Aを検討する中で名義株の問題が生じることがあります。
また、同族企業の中で、経営権に関して紛争が生じることがあります。親族経営であっても、経営に関する考え方に相違が出れば、争いになりえます。
【目次】
1.株主権の確認訴訟
2.名義株主が生まれた経緯
3.名義株により生じる問題
経営権の争いが、最終的に、株式の過半数を握るのが誰かという問題に集約されることがあります。
株式の過半数を握れば役員の選解任を株主総会で決議できるため、経営権を取得できます。
この問題は、要するに株主たる地位の帰属に争いが生じているということです。
裁判所で争われる場合には、株主権の確認訴訟という形の裁判になることがあります。
これは、株式を持つのが誰であるかを決めるものです。
誰が株主であるかは、通常であれば、会社が作る株主名簿により明確になります。
しかし、平成2年改正前の商法では、会社設立に必要な発起人が最低7人と定められていたため、名前だけの発起人として親族や従業員が名義上株主になることもそれほど稀でない頻度であったと言われています。
親族や従業員が名前だけ株主になると、名義株の問題が生じます。
名義株とは、他人の名義を借用して、株式の引受けや払込みがなされた株式のことを言います。
このような名義株について、基本的な考え方としては、実質上の引受人である名義を借りた人物が真の株主であるとされていますので、株主名簿上の株主と真の株主に齟齬が生じる場合が生じます。
●名義を貸しただけの人物による権利主張
名義を貸しただけの人物が、自分が真の株主であると主張することもあり得なくはありません。
名義の貸し借りから相当な年月がたっていれば、会社の状況も人間関係も変わります。
株式の価値が増大すれば、争いの火種になることも十分に考えられるでしょう。
●相続をきっかけとする紛争
例えば、名義を貸した人物(株主名簿上の株主)や名義を借りた人物(真の株主)が死亡し、相続が発生したりすると、事情の分かる人間が存在しなくなり、真の株主が誰なのか分からなくなる懸念もあります。そうなると、株主であると権利主張する者が複数現れる可能性がでてきます。
また、名義株が誰の財産と認定されるかによって、予期していない相続税が課税されることにもなりかねません。
●M&Aや事業承継への影響
事業承継やM&Aの手法として株式を譲渡して会社を売却しようとしても、真の株主が誰であるかが分からないと買手が判断すれば、株式譲渡自体が成立しなくなります。誰から株式を買えばよいのか分からなければ、買手は株式の真正な譲渡を受けられないリスクを抱え、取引自体を躊躇するためです。
●税務上の問題
相続税の問題を先ほど少し述べましたが、名義株の割合が同族会社の判定にまで影響するときには、留保金課税、グループ法人税制、組織再編における適格・非適格の判定などにも影響が生じます。
以上見てきたように、名義株が存在することで、会社経営が非常に不安定になる危険があります。
それでは、真の株主が誰かという点についてはどのように判断されるのかを次回は見ていきましょう。
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