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 弁護士・公認会計士  洪 勝吉

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株主総会を簡略に行いたいとき

Aさんは、スマートフォン向けアプリの開発を趣味で行っていましたが、収益を上げられるようになったため、住所地である札幌に本店を置く株式会社を創設しました。
業績は比較的順調であるため、アプリの開発仲間であるBさんCさんにも若干の出資を受け、取締役にもなってもらいました。
取締役が3名になったため、取締役会を置くことを考えています。他方で、面倒なことは嫌いなので、できるだけ会社運営は簡略にしたいとも思っています。

今回は、株主総会の開催について、どのような手続が必要であるか、簡略化したいときにどうすればよいかを見ていきます。

 

取締役会設置会社の場合

非公開会社で取締役会設置会社の場合の株主総会の招集手続は次のとおりです。

・招集の決定
取締役会設置会社の場合は、取締役会の決議によって、株主総会の日時、場所、総会の目的事項等を決定します(会社法298条1項・4項)。
この取締役会決議に基づいて、取締役が株主総会を招集します。
定款に「株主総会は、代表取締役社長が招集する」といった規定があったとしても、これは招集通知を発する取締役(法299条1項の取締役)を代表取締役社長に限定する定めと理解されますので、招集の決定は、取締役会で行う必要があります。

・招集通知
取締役会設置会社の場合、招集通知は書面でしなければなりません(法299条2項2号)。
この招集通知には、取締役会で決定された、株主総会の日時、場所、総会の目的事項等を記載する必要があります(法299条4項)。
定時株主総会の場合には、招集通知に際して、計算書類と事業報告を株主に提供します(法437条)。

・招集通知の発出時期
非公開会社の場合、株主総会の1週間前までに招集通知を発する必要があります(法299条1項)。

 

招集手続の省略

・招集手続の省略
株主全員の同意があるときは、招集手続を省略することができます(法300条)。
ただし、省略できる手続は招集通知の送付や計算書類等の提供に限られます。
また、あらかじめ包括的に同意を取得しておくようなことは許されず、株主総会の議題を特定して
事前に株主の同意を得ておく必要があると理解されています。
同意については書面で取得することは求められていませんが、後日争いが生じることに備えて書面化しておくことが無難です。

・全員出席総会
招集の手続をしていなかったとしても、株主全員が株主総会の開催に同意して出席した場合は、いわゆる全員出席総会として有効になります。一人株主の会社であれば、株主一人によって全員出席総会になります(最高裁昭和46年6月24日判決)。
代理人による出席であっても、代理人を選任した株主が、株主総会の目的事項を了知して委任状を作成し、決議がその目的事項の範囲内のものであれば有効とされます(最高裁昭和60年12月20日判決)。
全員出席総会には、株主でない取締役や監査役の出席が必要であるかどうかについては解釈上争いがあります。
 

取締役会非設置会社の場合

・招集の決定
取締役会非設置会社の場合は、取締役の過半数の決定によって、株主総会の日時、場所、総会の目的事項等を決定します(法298条1項、法348条1項・2項)。

・招集通知
取締役会非設置会社の場合、原則として、招集通知を書面で行う必要はありませんので、口頭や電話、電子メール、FAX、SMSなどでも問題はありません。
また、招集の通知の際に、株主総会の目的事項を伝える必要はありません。取締役会非設置会社の場合、株主総会の権限に制約はなく(法295条1項)、目的事項として決定された事項以外の事項についても決議することが可能であるため(法309条5項)、目的事項を通知する意味が乏しいためです。そのため、株主にとって不意打ちとなるような議案を決議することも可能になります。
さらに、定時株主総会であっても、招集通知に際して、計算書類と事業報告を株主に提供する必要はありません(法437条)。

・招集通知の発出時期
取締役会非設置会社の場合には、定款で1週間を下回る期間を定めることができますので、例えば3日前に招集の通知を行うとしても問題はありません。

 

まとめ

取締役会非設置会社の場合は、設置会社と比べて、株主総会の開催手続も相当に簡略になります。

事業の伸長に合わせて、会社の組織化を進めていくことが肝要です。上場を目指すような場合でもなければ、法定の会社組織を複雑にする必要性も一般には高くありません。
取締役が3名になったからすぐに取締役会設置会社とするのではなく、取締役会非設置会社のまま事業を進めることも十分にありうる選択肢です。
なお、BさんCさんからの出資については、株式譲渡承認請求への対応方法で見たとおり、譲渡制限を付すとともに、第三者に譲渡したときには無議決権株式となるような種類株式とすることも検討に値します。

 

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