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弁護士・公認会計士 洪 勝吉
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問題社員といっても様々ですが、問題行動の最たるものとして、横領や背任行為により会社に多額の損害を与える社員が挙げられます。
横領行為は犯罪に該当する可能性もある行為ですが、従業員が犯罪者として裁かれたとしても会社の損害が回復されるわけではありません。
従業員の横領が税務調査の過程で発見されることがあります。例えば、業務用に購入した物品を、中古品買取業者に売却して、売却代金を着服した事例を考えてみましょう。
会社の認識としては業務用に購入したものですから、消耗品費などで損金計上しますが、真実は、従業員が売却し代金を着服していますので、会社の業務に必要な消耗品費ではありません。そのため、消耗品費としては否認され、消費税の仕入税額控除もできないことになります。
これ以外の法人税法上の処理としては、従業員の横領損失が損金計上されることになります。これで法人税への悪影響が緩和されるかと思いきや、他方で、従業員への損害賠償請求権が益金計上されることになりますので、プラス・マイナスが同額になり、結局、消耗品費の否認部分が残って、この分の税金が追加になってしまいます。
さらには、従業員に業務を任せきりにして、会社が十分な管理・監督をしていないと税務署から評価されてしまった場合には、重加算税を課せられたり、青色申告の取消処分を受けることも考えられます。
そして、従業員の横領が長期間にわたる場合には、7年間遡って更正処分を受けることにもなります。
このように、従業員の横領により損失を被ったにもかかわらず、重加算税まで課せられてしまっては大変な損失ですし、心情的にも納得し難いでしょう。
このような事態を避けるためには、会社内で複数人によるチェックのシステムを構築することが不可欠です。このシステムを内部統制と呼んでいます。先ほどの重加算税のところでは十分な管理・監督がなされていたかが問題とされていました。十分な内部統制のシステムが構築され、現実に運用されているかが問題とされるのです。
会社法では株式会社の業務の適正を確保するために必要な内部統制を構築することが求められていますが、これは資本金5億円以上又は負債の額が200億円以上の大会社に限られています(会社法362条5項)。
しかし、横領行為を防止することや、重加算税を課せられないような体制作りは、大会社に限らず、全ての会社で必要となるものです。
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