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 弁護士・公認会計士  洪 勝吉

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売掛金・債権回収に問題を生じさせないために-③

今回は、実際に回収に問題が生じた場合にどうするかを見ていきましょう。回収に問題の起きている債権の回収手段にはいくつかあります。

回収手段① 債権を譲り受ける

一つ目としては、取引先(回収に問題が生じているので、次からは「債務者」と呼んでいきます。)が持っている売掛金などの債権の譲渡を受け、その債権の債務者(第三債務者と言います。)から回収を受けることが考えられます。信用状態に問題のない第三債務者であれば、確実に回収ができることになります。

債権の譲渡を受けるには、通常は債務者との合意が必要となります。ただし、動産を販売した場合で、債務者がこの動産を第三者に転売し、その転売代金の支払いがまだなされていない場合には、この転売代金を差し押さえることができる場合があります(動産売買先取特権と言います。)。差し押さえができれば、強制的に債権を譲り受けたのと同じことになり、回収につながります。

動産売買先取特権は非常に強力な権利で、通常の裁判を行わずに迅速に差し押さえまで行うことができ(ただし、裁判所への書類提出などは必要です。)、債務者が破産してしまった場合でも回収できるときがあります。

動産売買先取特権(さきどりとっけん)を使うには

動産売買先取特権はこのように強力な権利であるため、しっかりとした資料を準備しなければなりません。例えば次のような資料が必要となります。

当社と債務者との間の売買契約の成立に関する資料
売買基本契約書や個別契約書、発注書、納品書や受領書、請求書などの資料が考えられます。
ただし、納品書や請求書は当社側が作成しただけのものであれば、やや弱い証拠という位置づけになってしまいます。債務者の担当者の確認印などがある方が望ましいです。
 
弁済する期限がすでに来ていること
売買基本契約書に期限の利益の喪失条項が定められていれば、弁済期の到来を表すことができます。
 
転売の事実
当社が納品した、まさにその動産が転売された事実を表す資料が必要になります。そのため、債務者と第三債務者との間の売買契約書、発注書、受領書、動産のシリアル番号などの物品を特定する情報が必要です。このような資料は通常、入手できていないと思いますので、回収遅滞に陥った段階で速やかに債務者を訪問し、債務者と第三債務者との間の資料を提供するよう求めることが必要になります。
債務者のもとである程度の加工をして第三者に売却している場合に「転売」と言えるかどうかなど、裁判所への申立てにあたっては工夫を要する点も少なくありません。
 

回収手段② 相殺(そうさい)

回収手段の二つ目としては、相殺(そうさい)という手段があります。債務者に対して当社が債務を負っている場合には、この債務と当社の債権を同じ金額でそれぞれ消滅させるというものです。相殺については、債務者と合意する必要まではなく、当社からの一方的な意思表示だけで効力を生じさせることが可能ではありますが、当社が債務者に対して債務を負うような取引関係がもともとないといけないという面では、与信管理の段階に近いものです。

回収手段③ 債権者代位権(だいいけん)

最後に債権者代位権という権利が民法上定められています。この権利は、民法が改正されるまでは非常に使い勝手の良い権利だったのですが、法改正により債権回収のために役立つ場面が減ってしまいました。詳しいところは省きますが、使いにくくなってしまったことだけ把握しておきましょう。
 
さて、今回挙げた動産売買先取特権や相殺といった手段は、債務者が相当に危機的状況にあり事業を停止しているような場合に(も)利用できる手段です。
 
次は、事業を通常どおり継続しているにもかかわらず、支払いを行わない取引先への対処方法を見ていきたいと思います。

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