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 弁護士・公認会計士  洪 勝吉

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問題社員への対処法ー④

今回は、実際に従業員が不正を起こしてしまった場合の対処法についてです。

社外からの通報などにより従業員の横領行為が発覚することがあります。従業員を問い詰めたところ、従業員も横領の事実を認めました。どのような対応が必要となるか見ていきます。

業員が横領を認めた場合には、すぐに懲戒解雇したくなるのが人情です。

しかし、すぐに懲戒解雇することはやめておいたほうが後々のためによいのです。

懲戒解雇してしまうと、その従業員は、御社の従業員でなくなってしまいます。そうすると、後から詳しく事情を聞きたいと思っても、従業員でなくなってしまいますので、出社や事情説明を命じることもできません。

従業員としても、懲戒解雇されれば会社とは無関係と感じますので、事情を説明するよう指示しても応じないでしょう。

しかし、従業員の立場が残っていれば、就業規則に基づいて、業務命令として出社や事情説明を命じられますし、命じられた従業員としてもこれに応じる場合がほとんどです。

自宅待機命令を出す

しかし、横領を認めた従業員を通常どおり勤務させることもできません。
そこで、出社を禁止し、自宅に待機するよう命令することが考えられます。
この期間中に、証拠を収集・保全し、事情聴取をするなど、詳細な事実を調査します。

自宅待機命令については、これ自体が懲戒的な性質を持つものではないので、就業規則に明示的な定めがなくても、命令できると考えられています。
ただ、懲戒的な性質があるわけではないので、自宅待機命令期間中は賃金を支給することが原則となります。

裁判例としては、不正行為の再発や証拠隠滅のおそれなどの緊急かつ合理的な理由が存在する場合などには無給とできるとの基準を示したものがあります。

事情聴取する

冒頭に「従業員も横領の事実を認め(た)」と書きましたが、具体的な事実関係が伴わないものであれば意味はありません。

いつ、どこで、誰が(誰と)、どのように、いくらという具体的な事実を聞き出さなければいけません。腹立たしい態度を取られたとしても、それに応じて暴言を吐いてはいけません。目的はあくまで、どのような事実があったのかの確認です。

事情聴取をする際は、何名で、どのような部屋で行うか、人選をどうするかなど考えなければいけません。威圧的で脅されたために事実でないことを言わされたなどと後から言われないように注意する必要があります。

客観的な証拠を集める

情聴取した内容は、後からひっくり返される可能性があります。

そこで、客観的な証拠=物的証拠を収集することが重要です。
横領行為の客観的な証拠としては、横領の手口によりますが、経理関係の書類、発注関係の書類、取引先とのメールなどが考えられるでしょう。
また、従業員の金融機関の取引履歴の提出を受けておき、従業員の供述と一致するような入金が確認できれば、供述の信用性を裏付けるものとして利用できます。

書類関係については、日頃から、整然と保管しておくと、このようなときに役に立ちます。

さらに、従業員が使用するパソコンのデータを保全することも重要です。
データを削除されたとしても、復元できることもありますし、後から裁判の証拠にすることに備えて、データフォレンジックの専門業者にデータの保全を依頼することも、横領金額の多寡によってはあり得るでしょう。

弁明の機会を付与する

従業員への事情聴取や、客観的な証拠の収集等によって、従業員が行った横領行為が具体的にどのようなものであったか、会社として事実認定を行います。

この事実認定の結果が、従業員への懲戒処分の基礎となるのです。
そして、会社が認定した事実をもとに、従業員に弁明の機会を与えます。これは、懲戒処分の手続としての適正性を基礎づけるものです。
就業規則の中に、懲戒処分を行う場合に弁明の機会を付与する旨の定めが置かれていることも多いでしょう。

会社の事実認定に対し、従業員に弁明の機会を与え、この結果も踏まえて、懲戒処分の基礎となる最終的な事実を認定するという一連の手続により、懲戒処分の適正性を図るという目的がありますので、弁明の機会の付与は重要な手続です。裁判例でも、弁明の機会が付与されたかどうかが問題とされたものがあり、単に事情聴取を行っただけでは弁明の機会が付与されたものとは言えないとした裁判例もあります。

会社の事実認定に対して、従業員の弁明を求めるものですので、会社の認定した事実が明らかでない中での事情聴取では、弁明の機会を付与したとは言えないと評価される危険があります。

弁明の機会が付与されたと評価されない場合には、懲戒処分が違法とされる危険が増すことになりますので注意が必要です。

懲戒処分の量定を決める

労働契約法15条は、①「使用者が労働者を懲戒することができる場合」で、懲戒処分が②「客観的に合理的な理由を欠き」、または③「社会通念上相当であると認められない」場合は、懲戒処分が無効となると定めます。

①については、会社が従業員を懲戒するには、あらかじめ就業規則において懲戒の種類や懲戒の事由を定めておく必要があると解されていますので、このことを言う趣旨です。

②については、これまで述べた事情聴取や客観的証拠の収集によって、根拠のある事実認定を行うことが重要になります。

③については、社会通念上処分が重すぎるものでないか、会社内の過去の処分と比較して重すぎるものでないかといった点が問題となります。
少し古いデータ(2012年9月)ですが、一般財団法人労務行政研究所が調査した懲戒制度に関する実態調査では、売上金100万円の横領の場合、8割近い会社が「懲戒解雇」を適用するとのアンケート調査結果が発表されていますので、このようなデータも懲戒処分の量定を決める上では参考になるでしょう。

損害を回収する

従業員が横領を認めているのであれば、仮差押えや訴訟提起といった法的な手続をとる必要はないことが多いでしょう。

一括で回収することができず、分割弁済になる場合には、公証役場で、不払いが生じた場合には強制執行を受けることをあらかじめ認める内容の公正証書を作成すれば、不払いが生じたときに差し押さえなどの強制執行を行うことが可能になります。

分割払いの約定が守られなかった場合に強制執行が可能となるという点で、上記の公正証書は、裁判上の和解と同様の効力が生じますので、長期の分割払いの申し出の場合であったも、検討の余地があることは裁判上の和解の場合と同じです。

従業員が自宅不動産を保有し、自宅の価値以上の先順位抵当権がなければ、この不動産に抵当権を設定することで、損害賠償債権が保全されます。抵当権が付されているかどうかは、誰でも取得できる不動産の登記事項証明書を閲覧して確認することができます。

刑事告訴を検討する

損害賠償を受けられる目途が立たない場合などには、刑事告訴に踏み切らざるをえないことも考えられます。

刑事告訴する場合には、管轄警察署の担当者(横領の場合には知能犯を対象とする部署が担当になります。)と、会社が収集した客観証拠の写しなどを提出しながら、複数回の打ち合わせを行い、警察側の判断をまって、正式な刑事告訴に至ることが多いです。

金額の多寡や手口の悪質性などから、会社として刑事告訴せざるを得ないとの判断になる場合には、民事的な賠償の話を持ちかける前に刑事告訴するかなどタイミングをはかる必要も生じます

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