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弁護士・公認会計士 洪 勝吉
〒060-0042 北海道札幌市中央区大通西10丁目 南大通ビル2F
(札幌市営地下鉄東西線 西11丁目駅直結 専用駐車場:無し)
株主総会の運営は、形式的なものと思われがちですが、実際には「議長が質疑をどこで打ち切るか」「採決方法をどうするか」などでトラブルが起きやすい場面です。
特に、親族会社やオーナー企業では、少数株主との関係が微妙なときに、わずかな手続きの不備が後の訴訟に発展することもあります。
株主からの質問や発言がなくなった場合には、質疑応答を終了し、採決に移ります。
株主が質問や発言を続けようとしていても、平均的な株主が客観的に見て会議の目的事項を理解し、合理的に判断できる状況にある場合には、そこで質疑応答の時間を打ち切ることも可能です。
実務的には、穏当な進行方法として、議長が一方的に質疑を打ち切るのではなく、議事進行上の提案という形で総会に諮り、総会としての賛同を得てから採決に移る例もあります。
採決の方法については、会社法上は特段の規制はありません。
議長は、普通決議(会社法309条1項)、特別決議(法309条2項)等の決議の種類に応じて、決議の要件を充たしているかどうかを判断できる方法であれば、議長の議事整理権(法315条1項)の範囲内で採決の方法を適宜決めることができます。
例えば、大株主からの委任状を事前に取得しているなどの理由により、事前に多数の賛成を得ており、圧倒的多数の賛成を得られることが確実な場合は、賛成の拍手を受けるなどの簡易な方法によることも問題はありません。
他方、賛否が拮抗することが予想される場合は、挙手や起立、投票用紙を用いた投票等により、賛否の数を確実に確認できる方法による必要があり、株主総会議事録の記載内容にも注意が必要です。
また、定足数については、株主総会の開会時に確認することが通常ですが、採決時においても満たされている必要がありますので、途中退席の株主がいる場合には注意が必要です。
主な決議の定足数と決議要件は次のとおりです。
定足数は議決権の過半数ですが、定款により定足数を排除することが可能です。
定款に「株主総会の決議は、法令又は定款に別段の定めがある場合を除き、出席した議決権を行使することができる株主の議決権の過半数をもって行う。」といった規定がある場合は、普通決議一般について、定足数を排除する趣旨です。
このような規定がある場合は、1株の株主でも出席すれば定足数を充たすことになります。
決議要件は、出席株主の議決権の過半数です。
例:取締役監査役の報酬等の決定(法361条1項、387条1項)、計算書類の承認(法438条2項)、剰余金の配当(会社法454条1項)など
定足数は、他の普通決議と同様、議決権の過半数とされていますが、定足数を3分の1未満にすることはできません。
普通決議一般について、定款の定めにより定足数を排除している場合、これが役員の選解任の決議について定足数を3分の1とする趣旨と解するかどうかは争いがあり、否定した裁判例もあるので注意が必要です。
決議要件は、出席株主の議決権の過半数です(定款で重くすることは可能)。
例:取締役・監査役の選任(法341条)、取締役の解任(法341条)
定足数は、議決権の過半数とされていますが、定足数を3分の1未満にすることはできません。
決議要件は、出席株主の議決権の3分の2以上です(定款で重くすることは可能)。
例:監査役の解任(法309条2項7号、447条)、定款変更(法309条2項11号、466条)、合併契約等の承認(法309条2項12号、783条1項、795条1項、804条1項)など
議長は、株主総会の目的事項を全て終了した後、閉会を宣言します。これにより、株主総会は終了します。
株主総会の運営は、手続を理解していれば難しくありませんが、わずかな不備で「決議取消し」や「取締役の責任追及」に発展することもあります。
特に中小企業では、親族間・同族間の関係が複雑なことも多く、議事運営の方法ひとつで信頼関係が揺らぐこともあります。
弁護士が事前に進行や議事録の内容を確認することで、リスクを減らすことができますので、総会運営に不安がある場合はご相談ください。
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