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弁護士・公認会計士 洪 勝吉
〒060-0042 北海道札幌市中央区大通西10丁目 南大通ビル2F
(札幌市営地下鉄東西線 西11丁目駅直結 専用駐車場:無し)
【目次】(2026.6.3)
1.立ち退き交渉は、建て替えの事前設計
2.古いだけでは立退が認められるとは限らない
3.立退料は相場ではなく、個別事情
4.早期準備が交渉の見通しを左右する
「建物が古いから退去してもらえる」「耐震性に問題があるから立退料は不要」と考えられることがあります。
しかし、築年数や建物の老朽化だけで、直ちに法的な正当事由が認められるわけではありません。
借地借家法第28条では、明渡しの可否を判断する「正当事由」として、貸主・借主双方の建物の使用を必要とする事情のほか、賃貸借の経過、建物の利用状況・現況、および「財産上の給付」すなわち立退料の提示などが総合的に考慮されます。
耐震性に問題がある場合でも、補修での対応可能性や、借主がその場所で営業や居住を継続する必要性なども検討されます。
そのため、建築士による耐震診断、修繕見積、実現可能性のある具体的な建て替え計画・資金計画・工程表などを早期に整理し、客観的な資料に基づいて交渉の前提を整えることが重要です。
立退料は、明渡しのための単純な「値札」ではなく、正当事由を補完する財産上の給付として位置づけられます。
その金額は機械的に決まるものではなく、移転実費、内装・設備の移設費用、休業損害、営業補償、代替物件の確保困難性などを踏まえて個別に検討されます。
特に店舗・事務所・クリニックなどの事業用テナントでは、業種、賃借面積、特殊設備、許認可、顧客への影響などが問題となります。
そのため、事業内容によっては、居住用物件より立退料が高額化しやすい傾向があります。
また、立退料を検討する際には、算定項目が重複しないよう整理する必要があります。
権利金的な性格を持つ「借家権価格」と、具体的な「移転実費」を単純に合算すると二重計上とみなされるおそれもあり、不動産鑑定士等の専門的知見を交えた慎重な検討が必要です。
複数の借主がいる建物では、一部の借主との合意が遅れるだけで、建て替え・再開発の工程全体に停滞を招く実務上のリスクがあります。
交渉を開始する借主の順序や、各借主にどのような条件を提示するかを含め、初期段階から全体の進め方を整理しておくことが重要です。
建て替えや再開発を検討し始めた段階で、現在の契約内容、借主ごとの利用状況、建物の状態、想定される立退料、交渉のスケジュールを整理しておくことで、計画全体の見通しを立てやすくなります。
法的リスクや交渉方針の確認については、早い段階で弁護士に相談することが有効です。交渉が長期化・複雑化してからでは、選択できる手段が限られる場合もあります。
当事務所では、契約条件や建物状況を踏まえ、立ち退き交渉の進め方や正当事由・立退料の見通しについて、ご相談をお受けしています。
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